自動運転車の保険内容・料金相場・課題・海外状況

自動運転車両は今後、間違いなく普及していくでしょう。

高齢者の増加にともなう交通事故や移動手段の不便さの解消、物流業の人手不足解消など、自動運転は注目されており、2025年には、高速道路での完全自動運転を目標とした開発も進められています。

自動運転の保険商品とは

自動運転車の中には安全運転支援システム搭載車も含まれています。

安全運転支援システム搭載車は、(セーフティ・サポートカーまたはセーフティ・サポートカーS)のロゴもしくはAUTOMATED DRIVE(今後実用化された場合に車体後部に表示されることが決定しているロゴ)がついており、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)搭載を条件に保険契約車両の型式の発売年月が「保険契約始期日の属する年から3年前の4月以降」の条件で保険料の割引を適用しているケースが多いです。

一般的にはシステムが主体となるレベル3以上の車については自動運転車向けの保険商品が適しています。

既存の自動車保険では、事故が起きた場合に運転者や所有者の責任の有無やその割合が確定されるまでに時間を要する場合も多く、保険会社からの被害者対応が行われないのが一般的でした。

自動運転車においては事故の責任関係が更に複雑化する可能性も出てきます。

  • 欠陥やバグにより自動運転機能が誤動作を起こす
  • 外部データの誤謬や通信遮断による事故
  • ハッキングによる事故

調査時間がかかる分、被害者補償が遅れるのではないかといった懸念も指摘されていました。

日本では2017年より任意加入の自動車保険に付帯する「被害者救済費用特約」が含まれている保険を発売しています。

自動運転の運転レベルに応じた対応として被害者救済が可能となるように、被害者に早めに保険料の支払いを行い、保険会社が自動車メーカーなどに対して求償していく仕組みの商品が登場するようになりました。

自動運転車と自賠責保険

自賠責保険は自賠法に基づき契約が義務付けられている強制保険です。

もし自動運転車を利用して事故が起きた場合、自賠責保険は使えるのでしょうか?

自賠責保険の内容

自賠法(自動車損害賠償保障法)によると、原則として自動車の保有者に当たる「運行供用者」に損害賠償責任が生じます。
・ヒトに対する賠償
運行供用者に原則、責任が生じ、被害者による証明は不要です。
・モノに対する賠償
民法に基づき加害者に損害賠償責任が生じます。
加害者による損害が生じたことを被害者側の方で証明しなくてはなりません。

自賠責保険の保険金の上限額が下記の通り決まっています。
・死亡による損害 3,000 万円
・後遺障害による損害 障害の程度により75~4,000 万円
・傷害による損害 120 万円

自動運転車の場合は原因によって対応、支払いが行われる

自動運転における自賠責は2022年3月現在では以下の対応となります。※

・自動運転システムの欠陥が原因となる事故は、自賠法に基づき損害賠償責任を運行供用者に負わせることとし、従来どおり自賠責保険から支払いが行われます。

・外部情報の誤りを原因とする事故があった場合は構造上の欠陥または機能の障害の可能性があるため、運行供用者が損害賠償責任を負うこととなり、自賠責保険から支払いが行われます。

・ハッキングを原因とする事故の場合は政府保障事業でもある「政府による被害者救済制度」による対応となります。

※参考:損害保険料率算出機構

自賠責保険と自動車保険に加入しておいた方が安心

自賠責保険限度額がある分、支払限度額を上回る賠償額になる可能性があります。

モノに対する損害がある事故や、ご自身のクルマが壊れた場合は保証範囲に含まれていません。そのため多くの方がこれらの保証が含まれた任意の自動車保険に加入しています。

自動運転の保険一覧

自動運転の保険にはどのような商品があるかを見ていきましょう。

いまのところ、一般的な自動車保険見積もりサービスでは、自動運転車の保険プラン比較は、まだまだ不十分です。

あいおいニッセイ同和損保「自動走行実証実験総合補償プラン」

2015年から販売を開始している保険で、運転者乗車による自走走行システムだけでなく、衛星などを介した遠隔型自動走行システムの実証実験にも対応できるようになっています。

遠隔型自動走行によるリスクやサイバー攻撃による損害についても補償されます。
2021年3月に福井県永平寺町内でのレベル3遠隔型無人自動運転移動サービスにも考慮した自動車保険です。

あいおいニッセイ同和損保「タフ・つながるクルマの保険」

自動運転 レベル3以上の機能を有する車両が対象です。対人、対物、お車、ケガの保証も含まれており、対歩行者等障害特約もついています。

自動運転モード利用時の運転分保険料を無料になる内容です。契約後に専用の車載機から走行距離や運転特性車両運行情報を取得します。

走行内容を元に安全運転アドバイスや運転分保険料の算出、事故対応サービスを行う内容です。
トヨタのクレジット一体型コンビニプランの保険も「タフ・つながるクルマの保険」が採用されています。

損害保険ジャパン、ティアフォー、アイサンテクノロジー「自動運転システム提供者専用保険」

自動運転システムにより自律走行するレベル4以上に対応した保険で、運転する側ではなく自動運転システム提供者が保険を付保する契約方式です。

対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険・ロードアシスタンスなどの補償が含まれています。

自動運転サービスの中にすでに保険が組み込まれている状態で購入できるので、利用者からするとより安心して自動運転が出来る保険となっています。

自動運転保険の課題

自動運転車を利用していて実際に事故が起きた場合は責任はどうなるのでしょうか?

自動運転車に関しては自動運転レベルが1~5まであり、それぞれで対応が分かれます。アメリカの「自動車技術会」(SAE)が採用している6段階(レベル0含む)の自動運転レベルが主流となっています。

レベル0
自動運転システム未搭載のため、ドライバーの責任になります。

レベル1
一部システムの運転支援がありますが、基本的にドライバーが操作、運転を行うので、ドライバーの責任となります。

レベル2
アクセル、ブレーキ、ハンドルなど複数の操作をサポートする部分運転自動化に当てはまりますが、運転はドライバー主体となるため、ドライバーの責任となります。

レベル3
条件付き運転自動化(運転操作システム主体)となり、車線変更や分岐などの自動運転も可能ですが、一部サポートされていない部分はドライバーが操作を行います。基本的に自動運転中の事故だった場合でもドライバー側の責任となりますが、システム不具合による事故の場合は自動車メーカーなどの過失も考えられるため、保険会社が被害者に保険金を支払い、保険会社から自動車メーカーなどに保険金を請求する仕組みになっています。

レベル4(2025年解禁予定)
限定領域内の走行全操作をシステムが行います。

レベル5
走行エリアの限定なく完全な自動運転を指しています。

参考:国土交通省

海外の例でいえば、アメリカのテスラがレベル5にあたります。

日本国内では2022年3月現在でもまだ実用化はされておらず、法整備も決まっていない状態です。

自動運転レベル4以上のシステムになるとほぼシステムによる自動化となるため、運転側の責任ではなく、メーカー責任となる可能性が高いと推測されています。

自動運転車の保険、海外の状況

海外ではレベル2・3の開発を飛ばしてレベル4からの開発を行っているメーカーが多い傾向があります。

ドイツの場合

過失の有無にかかわらず保有者の責任があるとされています。

レベル3以上に相当する完全自動化機能の車の使用による損害が生じた際は、上限金額を倍額に引き上げる対応となります。

イギリスの場合

2018年に「自動運転車及び電気自動車に関する法律」が成立しています。

保険がかけられている車での自動運転中に事故があった場合、被保険者や他者が損害を受けた時には、保険会社が損害賠償責任を負うことになっています。被害者は、保険会社に対して、直接請求できる内容です。

アメリカの場合

アメリカでは、各州の州法により損害賠償責任と製造物責任は内容が違ってきます。

レベル3以下の自走運転車で、運転操作を運転者が行っていた場合、運転者の責任となる可能性が高いです。

システムによる操作となるレベル5では、システムの不具合が原因の可能性もありますので、運転者の注意義務違反は問われず免責になると考えられています。

また、アメリカの自動運転車としても知名度が高いテスラにおいては、テスラ専用のダイレクト型ネット保険となる「InsureMyTesla」を取り扱っています。

日本国内ではモデル3のみの加入しかできない保険が多い中、モデルS・モデルXも補償対象となります。

対人賠償や対物賠償保険・人身傷害補償保険・搭乗者傷害保険・車両保険も付帯している保険です。
日本国内で検討している場合は、個人契約はSBI損保、法人契約は損保ジャパンとなります。

参考:SBI損保のテスラ車向け保険

自動運転車の保険料の相場

現在、自動運転保険で個人向けの商品では、あいおいニッセイ同和損保「タフ・つながるクルマの保険」がありますが、この保険商品は走行内容によって保険料が変動します。

安全運転スコアと走行距離で基本料金が決まるのですが、年間走行距離が少ない方が基本料金が安くなります。

トヨタファイナンスのコンビにプラン(タフ・つながるクルマの保険)の一例(年間)
4,000kmの場合 95,880円~100,800円
20,000kmの場合 100,800円~125,160円

もし年間の支払額が100,000円前後だった場合、月々の保険料は約8,000円~9,000円前後となります。

車種や年齢、等級などにもよりますが、従来型の普通の車よりも、2~3割ほど割高であるイメージでしょうか。今後さらに自動運転車が普及することによって、保険料も下がっていくものと思われます。

まとめ

自動運転車の開発は各車メーカーで行われていますが、車種によってレベルの違いがあります。

自動運転により運転者の不注意による事故の減少は期待できますが、もし事故が起き、システム的な不具合があった場合のためにも自動運転保険に加入しておいた方が安心です。

自動運転レベルによって責任も変わってきますが、自動運転車の購入を検討するようであれば、自動運転保険の加入を検討しましょう。